夫婦水入らずという言葉があります。しかし、案外、夫婦だけの時間と呼べるものは少ないのではないでしょうか。他の人間関係に比較すれば圧倒的に多いと言えるか言えないか、難しい所ではないでしょうか。
夫の事を見忘れた奥さん
例えば、結婚して1年後に子供が生まれた場合、もう夫婦だけの時間を持つことは困難になってきます。あるにしても一時的なものとなります。子供は大きくなって家を出て行くまでには20年くらいはかかりますので、ずいぶん先の話になります。また、仕事がありますので、平日は夫婦で顔を合わせる時間も朝と、夜ぐらいなものなのです。
意外と夫婦で過ごす時間は少ない?
30歳くらいでで結婚、出産を迎えた場合、50代中盤位からが夫婦だけの時間ということになります。しかし、仕事の定年までにはまだずいぶんありますので、それほど多くの時間二人きりというわけでもありません。
冗談のような話ですが、場合によっては、会社の隣の席の同僚と交わすコミュニケーションの方が多い事さえあるのではないでしょうか。
朝は急ぎで出かけ、夫婦の会話は数分程度、職場につくとすぐさまスケジュールやなにやらについて30分ほど話し合い、お昼が来たら一緒に出掛け・・・仕事は残業で延びて、帰りに二人で飲んで帰るなど、そんなこんなで帰宅は24時過ぎで、風呂に入って眠ったら、どたばたした朝がやってくる・・・。
この場合、夫婦の会話は30分に満たないようです。隣の席の同僚とは、3時間くらいは話したでしょう。
仕事も定年、ようやくの夫婦水入らず
やっと望んでいた時がやってきたはずなのに、なかなか難しいと感じることもあるでしょう。30歳だったはずの旦那さんは、すっかり歳を重ねています。
休みの日はなにやら本でも読んでいるようですが、いったい何の本なのでしょう。
そういえば夫の興味も良く分からなくなってしまった。それほどに長い時間が過ぎたのでしょうか。思わず、「あのどちら様でしたっけ?」などと冗談で言ってしまいそうな雰囲気です。
しかし、こんなことをやりながら、新しい夫婦の形が形成されていくのではないでしょうか。それは、割と新鮮な感じがすることなのかもしれません。時に、自分の知らなかった、旦那さんのかっこいい一面が浮かび上がってくることもあるのではないでしょうか。
別々な時間が多いことの意味深さ
最後に少しだけ触れたいことに、夫婦の時間が少ないという社会システムについてです。深く考えれば、大きな話になってしまうと思いますが、一つの見方として、案外、夫婦別々な時間を取るというシステムが、夫婦を維持させる装置としてデザインされているという可能性です。
こんなことを考える人は少ないと思いますが、夫婦になった後も、それぞれ別々な人生を生きて行くことは変わりのない事実ではないでしょうか。