Dさんは、3年ほど前に、結婚し、旦那さんと暮らし始めました。
結婚を境に、仕事は退職し、専業主婦となったのです。旦那さんは、多忙で、
休みの日も出勤が入ることも稀ではありませんでした。
子供もまだいないため、Dさんは、専業主婦として時間を使っていたのですが、
ある日、ご近所の話に混ざると、あちこちの奥さんの話が飛び交っていました。
主婦の噂話
「いいわよね、あそこの家の奥さん。旦那さんがずいぶん稼いでるみたいで、平日から一人で外食に行ったりしてるらしいわよ。とてもあんなお店いけないわよねー。」
『あっちの奥さんなんて、毎週どこかに出かけるそうですよ。旦那さんが仕事を休めないときは置いていっちゃうんですって』「まぁ・・・」
「遊ぶお金が必要なら、少し位パートでも出るべきよね。私なんて、子供を育てながら、実家にも顔を出して、それから夫実家へも行って、それでももう10年も休んだことないわよ」
こんな話が飛び交っていたのです。Dさんとは事情が違いますが、専業主婦
として、何か、他人事とは思えないような話でした。
Dさんは、自分も噂されてるのではないかと心配になってしまったのです。
確かに、時間は結構余裕があるには違いないのですが・・・
専業主婦はお茶をゆっくり飲んではいけない?
Dさんには、家事の合間にお茶を飲んで一息入れる習慣がありました。
その際に飲むお茶は、毎回緑茶のように同じものではなく、紅茶やルイボスティーなど、いろいろなお茶を飲んでいたのです。
これが一つの楽しみにもなっており、買い物帰りには紅茶やハーブティーなどを見て回ることもありました。
ある日も、いつものようにお茶を淹れようとお湯を沸かし、ティーカップを温めていたときのことです。
Dさんは、先日の近所の人たちの会話を思い出しました。
「よく考えれば、この紅茶一杯で幾らになるんだろうか・・・。外で飲むよりは安く済むけど、毎回違う種類のお茶を飲むなんて贅沢かしら・・・。一種類に絞れば、もっと安くすむわよね・・・」
などと、お茶を淹れようとするDさんの頭を、そんなことばかりが過るのでした。
「だいたい、こんなにお茶で休憩ばっかりしていていいのかしら。パートに出ていたら、きっとお茶をゆっくり飲む時間なんてないはずだわ。私ってやっぱり甘えた主婦なのかしら。」
Dさんは、なんだか自分が恥ずかしような気持ちと罪悪感がこみ上げて一人泣いてしまうのでした。
もし時間を15分刻みで考えたなら、旦那さんが出勤してからの時間をやりくりすれば、少なくとも5時間程度は、空き時間があったのでした。
それなのに働いていないとはどういうことなのかを、Dさんは自分自身でもこの現実を収めきれずにいたのです。
しかし、全ての専業主婦がパートに出ているわけではありません。そもそも専業主婦という言葉があるくらいです。
Dさんは今のままでいいのかと、今晩旦那さんに相談してみることに決めたようです。
Dさんは、パートに出なければいけないのでしょうか。