人事院では5年に一度「国家公務員長期病休者実態調査」を実施しており、そのデータにはメンタルヘルス関連の休職状況もまとめられている。
「国家公務員長期病休者実態調査」によると、精神及び行動の障害による長期病休者は4,760人であった
出典:人事院 令和4年度年次報告書 国家公務員長期病休者実態調査
上の図は、昭和56年(1981)~令和3年度の推移を表しています。精神及び行動の障害による長期病休者数は、昭和56年では802名であったのに対して、一時微減していたものの令和3年度では4760名に増加してゆきました。
全病休者の72.3%は精神及び行動の障害であった
このデータによると、全病休職者の総数は6500名であり、その内「精神及び行動の障害」は4760名であり、73.2%を占めていました。
※精神及び行動の障害:特に注記はないがICD10の分類を指していると思われる
一般企業においても従業員への支援計画が組まれていますが、このデータからはその大きなテーマががメンタルヘルスへの取り組みにあることが推測されます。
昭和56年から平成28年度の長期病休者数及び長期病休者率の傷病別順位の推移
今回の調査結果ではないが、傷病別の推移もデータがある。(前回調査)
これによると、昭和56年では消化器系疾患が3195名とあり、平成18年度には6位以下になっている。そして、精神・行動の障害が3849名で1位となっている。まるで入れ替わったかのように見えてしまうが、この点は深堀してみないことには不明である。医学の進歩という点が大きいのだろうか。うつ病については、診断概念の変遷などもあり、そもそものうつ病自体は増えていないとの主張もある。心身症的症状が増えているのかどうか気になるところである。
- 関連サイト:やはり、うつ病は増えているのか?
まとめ
この背景に何が挙げられるのか、それには精査が必要であります。
なんら断定的な事はできませんが、時期から考えるにやはり特別な要因としてはコロナウイルスの蔓延がありました。
そして関連して、IT化がコロナウイルスに押されるかのように急速に進んだことも環境を短期間に激変させました。又、日本社会が直面する大いなるテーマとしての少子高齢化が元々の要因として広く日本社会に渦巻いていることもあります。
当オフィスにおいては、臨床心理士の立場から、復職に関するカウンセリングも行っています。