臨床心理士は基礎的な心理学を学んでいます。
ここでは、ティッシュ配りのコツについて心理学的な観点を含めて検討します。
新しく始めたアルバイトや、就職先で何かを配布するなど、悩みを抱えることもあるタスクだと思います。
ティッシュ配りのコツは、幾つかある
ある観察から言えることは、数点あります。やはりここでも、「安全」を最も重要な概念として挙げておきたいと思います。「安全」を後回しにすると悲惨な結果になりますし、通行人もやはり安全を気にしているように見受けられるのです。
脅威を与えない事
ティッシュ配りの人は、その場所においては「異質な感じ」で捉えられることがあります。そのため、危害を加えるものではない事を示す必要性を感じます。
これは身だしなみや表情、声、節度などから判断されることがあります。
仮に、圧を与えるような方法の方が数を配れたとしても、それは厚かましいイメージをたくさん振りまいてしまったという結果にならないでしょうか。そもそものティッシュ配りの目的から外れているわけです。安心感を振りまかねばなりません。
距離
ティッシュを配る際、どこに立つかは重要なポイントです。
遠すぎても近すぎてもいけないという事になります。
しかし、身長も違えば歩幅も違うわけですから、実際にはそのときどきで距離を調節することになります。
反復横跳びのように動いてみたり、じりじりと少し前に出たり下がったりするのです。
鉄則は、その人の歩みを決して妨害してはならない事です。
ティッシュ配りは、通行人にとってはあくまでおまけみたいなことをしているのであって、立ちはだかって足を止めてもらうのは行き過ぎでしょう。ただし仕事であることを忘れるべきではありませんし、誇りをもって遂行します。
混雑度
また、その界隈がどの程度混んでいるのかもポイントです。
そして、混雑していればいるほど危険な空間ができあがっていると認識しています。
少しでも足を止めれば後ろから来る人とぶつかってしまうのです。
ましてや皆スマホを見ながら歩いている人が多いのです。
安全にと言うところが大きなポイントになります。
左から来る人、右から来る人、柱の陰から急に出てくる人・・・など常に周囲の状況に目を配っていなければ、衝突の危険があるのです。
角度や高さ
身長はそれぞれですから、自分自身の身長も考慮した丁度良い高さを探します。
これはバスケットのレイアップをイメージします。
ちょうど良さそうな場所へすっと置いてくるだけ、なのです。ダンクシュートのように叩き込むことはしません。
また、微動だにせず持って行ってくださいとティッシュを前に出して固定しておくのは失礼な感じが出ます。
触れずに、手の中へお届けするイメージです。
このイラストの感じだと、やや上から過ぎる印象を受けます。
一方、下の方々はどう見えるだろうか。
ほんの少しの違いなのですが、腰をかがめています。これは文字通り、腰の低さを感じ安心感を彷彿させます。
そして、あくまで例えですが、この位丁寧なアプローチをする気持ちではどうでしょうか。
笑顔で渡す
気持ちの持ち方としては、おそらく、皆さまの通勤通学が平穏に済みますようにと願いながら挨拶するような感じではないかと思います。
ティッシュを受け取る、受け取らないにかかわらず、通行者の方が健やかに過ごせるよう見守り続けるのです。
エスカレータ―の下りに向かって上ろうと突っ込んでいくスマホユーザーがいたら危ないですよと声をかけるような、そんな心づもりです。
受取ってもらってもありがとうございます。恐れ入ります。受け取ってくれなくとも、お気を付けてと、感謝の念を振りまき続けるイメージです。
新入社員にこうした作業をさせているのは、もしかすると、お客さんと接する上でのマインドを教育しようとしているのかもしれません。
声
声も同様に、お一人お一人にご挨拶するような気持でどうでしょう。
全体に向かって張り上げるように声を上げることもあるのですが、そうでないときには、お一人ずつ挨拶出来ます。
遅くまでお疲れ様です、と声をかけた時、スマホに向かっていた意識もこちらへ向くこともあります。
まとめ
以上、無秩序に配っているわけではないのです。
この場合の技術は、「態度」・「マインド」からにじみ出るもののように思えて来ました。
ティッシュ配りを追求し、謙虚な態度で臨んでゆくと、自然とホスピタリティが育まれるのではないかと思います。
様々な事に配慮された行動は、美しささえ帯びてくると思います。ちょうど舞っているような美しさです。