昨今、テレビのニュース番組やドキュメントでパラレルキャリアや副業について耳にする機会が増えました。 副業はよく知られた言葉ですが、パラレルキャリアについてはこれまで使われてこなかった言葉のように思います。
パラレルキャリアや副業が注目されている
終身雇用以外の働き方が徐々に増え、フリーランスという言葉はかなり浸透してきました。 どこかの会社に勤めていても、仕事を辞めたいと考えている人もかなりいるのでしょう。新卒で入社した人の離職率はかなり高いと聞きます。
これは、多くの方が直面する事柄のようです。
パラレルキャリアとは
本業とは別な仕事を同時に持っていることを指します。(正確な定義ではありません) また仕事に限らず、ボランティア活動などもここに含まれます。 週の3日ホテルマンとして働き、別な2日を銀行の案内係として従事するなどがこれにあたるかと思います。
ホテルマンと銀行の案内係は全く別な業種ですが、人に親切に接するところでは何か共通点を見出せそうですし、それぞれの経験がそれぞれの仕事に活かせそうでもあります。 ピーター・ドラッカーが「明日を支配する者」の中で提唱しているそうです。
副業
副業の場合は、字義通り本業の補助的な収入源としての業という意味になります。 例えば、江戸時代においても副業はありました。武士が内職して傘を作る場面などはよく時代劇に登場します。あれは、武士だけの収入では足りずに傘を作って稼いでいる姿です。
ですが、自分は武士であることに誇りを持っているわけですからメインは武士なのです。 ここで、武士も戦場では身支度から炊事まで自分でやらねばならぬからということで飲食店で経験を積んでおこうなどと、副業として働きに出たらこれはむしろパラレルキャリアの発想なのでしょう。
私は一体何者か
フロイトは人生を愛することと働くことだと答えたと言われています。 それほどに職業は自分とは何かという手応えを与えてくれるものなのだと思います。
我々の業界を例にとると、おそらく病院に勤めている臨床心理士の中には、〇〇病院のカウンセラーというアイデンティティの人もあれば、所属意識はなくどこにいようとカウンセラーですという人もあることでしょう。
後者の場合、仕事を辞めてもアイデンティティはカウンセラーのまま変わりはありません。もっと言えば、ホテルマンとして働くことになってもアイデンティティはカウンセラーのままの人もいるくらいではないかと思っています。
パラレルキャリアという言葉が浮上してきた背景には、自分は何者なのかという生涯にわたる問いかけが行われているためではないかと見ています。 これは退職後の人生がまだまだ続くことや、不況リスク、家族形態や夫婦形態の変化なども関係しているのでしょう。
もう一つ挙げておきたいのは、就職段階でまだ自分が何者であるかなんて決めたくないと感じている若者がたくさんいることを指してはいないでしょうか。 自分が何者かを意識して生きたい人もいれば、どうでも良いと感じている人、意識せねばならないと義務感を持っている人などここにも違いが生まれているはずです。
必ずしもアイデンティティを職業に結びつけることもない
見逃しがちですが、朗らかなおじいさんになりたい人、目立たないおじさんになりたい人、井戸端会議するおばさんで在りたい人など、何も仰々しい肩書などないほうが自分らしい人も数知れずいるはずです。 これもまた、本人の意向に合わせた着地が望ましいのではないでしょうか。
まとめ
働き方が多様になっているのは確かなのですが、一方、やはり終身雇用や社会保険加入などが社会人としての前提条件のように語られることもあり、嫌な思いをされたかたもあるのではないでしょうか。