大人になってから友人宅にお邪魔するのは、子供の頃の関係とはやはり異なります。
昔だったらどたばたと靴も揃えずあがりこんでいたかもしれません。
しかし、大人になると悲しいかな、結構気をつかうものです。
友人家族からおもてなしを受けたとき、帰るタイミングは皿洗い
友人の家に出掛けたときに、なにかと、もてなされた経験を持つ人は多いでしょう。 何もせずともお茶が出たり、遠くからありがとうなどとお礼を言われることさえあります。久々の再開にお互い嬉しかったり話もはずむものです。
しかし、この和やかな雰囲気は永久に続くものではないことを多くの人が知っています。これは日本の文化特有の事なのでしょうか、お邪魔した方としては、あるときから帰るタイミングを探し始めたりします。
一方で、訪問を受けた側もいつからかソワソワしはじめるときがあることに気づでしょう。 わかりやすい場合もあれば、非常に難しい場合もあります。決まって、お時間は大丈夫ですか?などと尋ねても、「ゆっくりしていって下さい」などという返事が返って来るばかりです。お互いに気をつかいあってしまうわけなのです。
友人の家からは惜しまれるうちに帰ってきなさいと言っていた母
子供の頃、このように教えられた人も多いと思います。例えば、夕方5時ころに帰宅し始めると、「夕食も食べて行けばいいのに」くらいのことを言っていただけることがあると思います。
しかし、そこまでは長居せず、多くの場合、「また今度ごちそうになります。ありがとうございます。」と言って友人宅を後にするのです。 これがある意味では友人関係を保つコツでもあったわけです。もし、夕食を食べることが常態化してしまうと、また関係は変化してしまうでしょう。(悪い事ではないと思いますが)
このように考えて行くと、人間同士との付き合いは、寂しさを共有することも含まれているように思えます。どこかで制限があり、それ以上は日常的には遠慮されることが多いわけです。
だからこそ、お祭りや、旅行などの普段とは異なる行事が思い出深くなるということにもつながるのでしょう。別れ際の挨拶に何気なく、「またね」などと言いますが、人間同士の付き合いを大事にしようとする態度が伺える言葉でもあります。
不思議な合図の数々
ここで、帰るタイミングとなるきっかけを、幾つか羅列します。なぜこんなことが起きるのかと不思議に感じるものさえあります。これは、見えないところ、つまり心理的な緊張感などが背景に蠢いて引き起こしているものもあるのではないでしょうか。
- 子供が泣きはじめる。お母さんに何か言いはじめる
- 旦那がトイレに行って帰ってこない
- 奥さんが皿洗いをはじめる
- テレビのニュースにコメントをはじめる
- 猫が餌を出せと言う にゃおー
- 近所の人がやってくる
- 嵐が来そうになる
- 仕切りに今日の天気・交通事情の話題がもちあがる
- 仕切りに明日の予定が、しかもとても朝早い事が語られる
- 実家から電話が入る
- 犬が客人を威嚇する
- ストーブの灯油が切れる
- 醤油が切れる
- 鳩時計が狂ったように動き出す
不思議と訪問中にありそうもないことが起きるものです。ニュースにコメントは、集中力が切れているように思います。
気を利かせなければいけない時もある
友人宅から帰るタイミングもし、気を利かせて、「それじゃそろそろ・・・」などと展開しない場合には一体どうなってしまうのでしょうか。先に少し触れましたが、家の人がソワソワしてくるというのはよくあることではないでしょうか。
もし友人が男性だとしてついつい話し込んでいたら時間が経過してしまい、予定を過ぎてしまったとします。 そうすると、奥さんは洗濯をはじめたり、皿洗いをはじめたりするものです。そこには早く帰ってほしいというはっきりした意図があるかどうかは別にしても、何かそろそろ帰った方がいい雰囲気が伝わってくるものです。
奥さんの動向には要注意
このタイミングをさらに逃してしまった場合には、もしかすると泊まっていくことを勧められるかもしれません。おそらく、親切心であると思いますが、これが訪問するたびに毎回となっては、いささか人間関係に影を落とす結果に繋がりそうです。 「あの人、なんだかんだでいつも遅くなって結局泊まることになるのよね~」などと旦那さんに愚痴られているかもしれないのです。
つまり、夫婦の場合には、奥さんの動向をよく見ておいた方が良いということになります。直接の友人の旦那さん側は悠長なことを言っていても、奥さんは「そろそろ帰ってくれ」と思っている可能性があるのです。それを察することが出来たなら、奥さんからの株も上がることでしょう。
もしそれを間違えたら、「あの人とはもう付き合うな」などと旦那さん命令が下るかもしれないのです。
京都では「お茶漬け」を勧められると帰るタイミング
これは都市伝説なのかもしれません。そのまま、お茶漬けが合図として使われているわけではない模様です。
ですが、日本人として、なんとなくこのニュアンスは理解できます。
お茶漬けでなくとも、先にあげたような「皿洗い」がお茶漬けの役割を果たしているのです。
さっきまでと何か雰囲気が変わったぞ・・・という時が帰るタイミングなのかもしれません。
外すこともある
しかし、どんなに気をつかっていても、そのタイミングを外してしまう事もあります。
本当に引き止められているのに、「もう帰ってくれ」の合図だと早ガッテンしてしまうこともあれば、長く居すぎてしまうこともあるのです。
そんなにうまく行くものでもないと思います。
最後に番外編-帰してくれない友人-
帰るタイミングばかり気をつかっている中、逆に帰すまいとする友人がいることも事実です。
これを光栄と捉えることもできますが、そんなに後味の良い事ばかりではありません。
例えば、車なのに酒が出て来たら、代行を呼ぶしかありません。何か意図があるのでしょうか。奥さんがグルになっていることもあります。
付き合いはよく考えたいものです。
相手のペースにもちこまれているという可能性もあるでしょう。嫌な後味を残します。
まとめ
これは非常に日本人らしい人間関係の悩みです。気づかい合いすぎて大変な社会でもありますが、このめんどう臭さがまた良いのかもしれません。
一軒一軒文化が違う家が存在することは、お邪魔するたびに新鮮味があるかもしれまん。みそ汁の味も違うのです。
カウンセリングならば小一時間です。はっきりと50分などと決めてお会いしています。小一時間が集中して話の出来る一つの区切りであるそうです。
これは関係性や年齢などの諸条件にもよりますが、小一時間から2時間くらいの心づもりは概ね妥当ではないでしょうか。