学校でも職場でも飛び交いそうな言葉です。
新人でも院生でも、半年くらい経つといきなりこんな言葉を投げつけられることがあります。
これは、管理者側の管理不足の結果として見ることはできないでしょうか。
今まで何やってたんだ!は、昭和の歌謡にも登場するなじる言葉
このセリフは、様々な場所で本当によく聞かれます。
過ぎ去ってしまった時はもう戻らないのだということを理解していないのでしょうか。
今この場の現実問題に焦点をあてようとしないのはどういうことなのでしょう。
半年たてば一人前に育つなどという、おとぎ話かファンタジーのように思えて来ます。
10人の新人がいる現場では教育格差が生じていた
ある組織では、10名の新人が一斉に指導の下仕事に勤しみました。
監督者はたくさんの知識や技能を教えようと必死でした。それは本当のことだったとは思います。
しかし、10名いると中にはライバル意識を燃やして他を蹴落とそうとする者もいましたから、業務の奪い合いのようになっていたのです。或いは、どうでも良い業務は誰かに押し付けられていました。
すると、管理者は他を蹴落とそうとする者にかなりの時間を奪われるようになりました。
質問攻めであるし、なにかと理由をつけて独占し始めたのです。
いつしか、新人の間には経験の格差が顕著になりました。
150時間以上の業務経験を積んだものもいれば、10時間程度にしか満たないものもいました。備品管理などを押し付けられていたようですが、本筋の業務は手つかずで、順番がまわってくるのをまっていたのです。
半年後、管理者は愕然として怒り狂った
なぜ、あんなに熱心に指導したのにまるで成長していないのか!意識が低いんだ!
結果的に、他を蹴落とした人は、100時間かけてもほとんど本質的な成長はしていませんでした。
これにも失望ですが、10時間の人たちはまるで半年前と代り映えがしません。
一体君たちは今まで何をしていたのか!さぼっていたのか!と怒ってしまったのです。
すると、か細い声で「あなたの管理が行き届いていなかったのでは・・・」と誰かが言ったのでした。
管理者はさらに憤慨するのでした。
切磋琢磨できる関係ならどんなに良かったでしょう。
今まで何やっていたんだの振り返り
さて、この物語はフィクションですが、こんな組織では働きたくないものです。
一体どういう組織を目指していたのでしょう。
当初、10名全員の成長を目指していたようですが、結局のところ数名だけが経験を独占して他の人は、わずかな業務経験しか積めなかった模様です。
これは平等とはかけ離れていますし、当初の目的からかけ離れています。
貪欲に学ぶ姿勢とは
求人や入学願書で「貪欲に学ぶ姿勢のある者」という文言を見かけます。
貪欲という響きにはあまりいいイメージがないのですが、言いたいのは熱心に学ぼうとする者の最上級表現なのだと解しています。
しかし、貪欲は人を蹴落としてまで得る事と勘違いされていないでしょうか。
見切りをつける
もし、異動や卒業でその組織と縁を切れるなら早々に見切りをつけるのも一つだと思います。
とにかく生き延びることを最優先に、持ちこたえるのです。ここでのことが全てであるなどと結論付けないことが肝心だと思います。
5年、10年先には辞めている人もいる
何かを一斉にはじめたとき、我先にと隣の仲間を蹴落としてでも経験を独占しようとする人がいます。
その場合、確かにその人は経験値を蓄え先に進んでしまうのです。
ですが、見切りをつけたならばそれに張り合う必要はなく、悔しさは残っても自分の道を探す方が建設的でしょう。
5年後、仲間を蹴落としたその人はさらに先に進んでいるのでしょうか。そうかもしれません。どうでもいいことと捉えても良いでしょう。また、よくある話としては、もう興味をなくして別な組織に移っているという展開です。尚更に憤慨するような話ですが、ただの気まぐれという事になります。
えっ、なんだっけそれ?申し送り?もう明日には引っ越すんだけど。
自分自身は5年地道に生きて来たら、派手ではなくとも相当な経験値を得ているはずです。蹴落とした人は3年で辞めましたから、もう自分の方が先に来ている可能性も十分あるのです。
10年後にはずっとい先にいます。
まとめ
半年たてば一人前になるというのはおとぎ話です。実務経験を積まなければ不可能であることはわかることです。
開き直って、「それが社会だよ」などと言う人もあります。「自分からやらなければ受け身ではだめだ」こういう言葉は平気で飛び交います。しかし、管理不足の中でそれをやるには、仲間同士奪い合う事になります。そもそもの設計が間違っているか、やはり管理不足なのではないでしょうか。
魚にエサをくれてやると、魚群が一斉に食らい付いてきます。よく見ると大きな体の魚と小さな魚がいることに気づきます。これは弱肉強食です。知性・文明のある人間の集団との違いがわからなくなりました。