仕事の悩みと一言で表せはしても、その内容は千差万別です。
ここでは、主に心理的なテーマと関連するであろう内容にフォーカスします。
仕事の悩みを相談する相手は誰が妥当か
心理的テーマと関係する悩みには、どんなことが挙げられるでしょうか。
例えば・・・
- 職場の人間関係
- 今後のキャリアや自分の在り方や成長にまつわることなど
- なんらかの不平や不満
- 疲弊や孤独を感じた時
- 職務や自分の在り方への迷いを感じた時
などなどです。
相談相手の有無などに言及のある参考調査結果
厚生労働省が実施している実態調査にも、相談相手の有無やその内訳もまとめられています。
このPDF資料の15ページ目を参照すると、「現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについて相談できる人がいる」労働者の割合は91.4%であることが読み取れます。
そして下記に引用した第15表には、実際に誰に相談したかがまとめられている。
※引用元:令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況
非常に小さく、読み取れない場合は引用元をご参照下さい。
独自にグラフ化しましたのでご覧ください。
ここでは、実際に相談した相手を、複数回答でまとめています。
その結果、上司・同僚がそれぞれ58.5%、63.5%でした。職場外では、友人・家族が62.0%でした。
上司と同僚ではかなり相談のハードルが変わるように思いますが、大きな差は生じていませんでした。因みに心理職への相談は0.5%でした。
一概に相談とは言っても、その水準や内容も様々です。
相談相手が上司だった場合、実務的なことに関わる内容が多く含まれているのかもしれません。
それは例えば、体調不良で休みを取ろうとする場合を想像すると、上司に相談せざるを得ない場面がやってきます。これは情緒的な相談というよりは実務寄りの話しになるでしょう。
昨今、スナック女子が増えているという報道をコロナ前に見かけました。これは、相談の場をスナックに移していると見ることはできないでしょうか。
補足
その他、補足的に専門相談先を参考資料として列挙しておきたいと思います。守秘義務を持つなんらかの資格保持者でないと安心して話ができないという内容の事もあると思います。難しい時代になりましたので、秘密が守られると言う事は非常に重要な意味を持ちます。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、2016年に誕生した国家資格です。下記リンク先に動画での紹介があります。自分のキャリア設計を立てたくなることもあるものです。
関連サイト:キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント(職業情報提供サイト(日本版O-NET)職業紹介動画)
臨床心理士
臨床心理士も、仕事関係の悩みについての相談先に挙げられます。職場の中にいるかもしれませんが、外部機関の利用という選択もあります。全国の臨床心理士の所属する機関を検索できるサイトもあります。(首都圏に集中しています)
※ハローワークでも臨床心理士が相談を行っている場合があります
保健師
学校にいた頃の事を思い出すと、保健室の先生が良い相談相手になった記憶を持つ方も多いと思います。養護教諭と呼ばれている先生たちです。
会社に養護教諭はいませんが、保健師が近い役割をしている場合があります。
若者向けの就労支援機関
就労に向けての取り組みを行っていますが、在職中の相談も一部可能としている機関がありました。
頭ごなしに否定されたくない
さて、ここからは相談相手を選ぶ際にポイントになりそうなことを列挙しました。
何事も否定されるのは辛いものです。
誰かに叱って欲しいとか、根性を叩き直して欲しいなどと思うこともあるかもしれませんが、その場合であってもあまり否定されるのはお勧めしません。
相談には否定が付きまといます。
軽く片づけられる
また、否定に近い話ですが、「そんなのああすればいいだけの話じゃん。それよりさー・・・」
というような相談の展開を経験したことはないでしょうか。
この場合、相談に要する時間は極端に短くなり、別な話題はほとんどになってしまいます。
向き合おうとしない相談相手
また、これも似た話ですが、思い切っての相談であっても正面から受け止めてはくれない人もいます。
話の話題が重すぎるためということもあるのかもしれませんし、そもそも湿っぽい話題というだけでも目をそらす人もいるものです。
この場合も大体は、いつの間にか別な話題にすり替えられていくものです。
これもあまり良い後味はしないものです。
杓子定規な返答しかない
これも多くの人が経験することですが、相談相手がやたら杓子定規になってしまうことがあります。
これもコンプライアンス意識が邪魔しているのかもしれませんし、相談内容が難しいと感じているが故ということもあるでしょう。
この場合、まるでロボットに話しているかのような虚しさを覚えることになるでしょう。
最近のロボットはもっと気持ちを汲み取るかもしれませんので、まだロボットに相談した方がいいとお感じになられる可能性すらあります。
考えを整理するため、壁打ちのように巧みにAIを有効活用する人がいるそうです。
会社中や知人らに拡散されてしまう
これは大問題と化すことがあります。
長い付き合いだからと気を許して話した相談相手が、勝手に誰かにそれらを話してしまう事があります。
単に重大な話と受け止めていなかった場合もあれば、話の重さに耐えきれず誰かに言わずにはいられなくなった場合、或いは、あの人に話せばきっと力になってくれると独断の早合点だったりもします。
最悪の場合、弱みを握られただけという悲惨な結末もあります。
親切を装って人の悩みばかりを聞き回り、それらの情報を用いて自分の利益にしようとする者さえ存在するのです。
つまり信頼のおける人に相談すればいいのか?
概ねそういうことになると思います。
口が堅く、真剣にその相談について共に考えてくれるような相手がいれば、まさに相談相手にしたいところです。
結局のところ、その相談に答えを出すのは自分自身ですから、安心して話せるだけでもかなり意義深い時間となるのではないでしょうか。
「誰かの意見を聞きたい」という場合には、もう少し考えるところもあります。
自分自身のニーズがどこにあるのかも確認したうえで相手を選ぶことが必要なのでしょう。
自分自身のニーズとは、「とにかく言葉にしたい」、「意見を聞きたい」、「一緒に悩んでもらいたい」、「助言や答えを求めている」などのことを指しています。
話を理解しそうな人
これも信頼の中に含まれるかと思いますが、「こんな話が理解されるのか?」という思いもあるものです。
もしひょうなことからタイムスリップしてしまったら、誰に相談するでしょうか?
ほとんどの人が、その話をまともに聞こうとするはずはありません。
いや・・あの人なら・・・という人がいたらどうでしょう。
まとめ
理想の相談相手を探すのは大変な事なのかもしれません。
迷わず相談に行くことも時に大事でもありますが、一方で用心深くなることも同様に大事な事でもあります。
当オフィスにおいては、心理士の立場・観点からの支援を行っています。