労働時間とうつ病等の関係について

いつものこと

厚生労働省の白書には労働時間とうつ病等に関連する資料が掲載されています。

ここでは、その資料を示しながら、一方で残業時間が長くても疲れ知らずのように見える人についても触れております。

労働時間が長くなると、うつ病等の疑いがある人の割合が増加する傾向にある

労働時間グラフデータ

※出典:令和6年版 厚生労働白書(令和 5 年度厚生労働行政年次報告)―こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に―

この資料から読み取れるのは、一週間当たりの実労働時間別うつ傾向・不安です。

日本では週40時間労働が一般的です。60時間といえば、毎日4時間残業する生活になります。帰宅時間は22:0頃になるでしょうか。

それからお風呂や食事となると、睡眠時間も削られてしまうかもしれません。そうではないにしても、テレビのニュースを観るくらいの余裕しかないでしょう。

月に換算すれば、80時間の残業です。この数値には圧倒されます。

「うつ傾向・不安なし」は顕著に低下

まずこのなかで、青色で表現されているのは、「うつ傾向・不安なし」です。それぞれ時間別にこの部分だけをまとめると以下のようになります。

  • 20時間未満:67.0%
  • 20時間以上40時間未満:64..6%
  • 40時間以上60時間未満:58.0%
  • 60時間以上:51.1%

図表の中にも赤丸で示しましたが、20時間未満が67.0%なのに対し、60時間以上では51.1%となり、顕著に低下しました。

重度のうつ病・不安障害の疑い

もう一点際立って見えるのは、20時間以上40時間未満と60時間以上の「重度のうつ病・不安障害の疑い」の差です。倍近いと言ってよいかと思いますが、それぞれ7.8%と14.3%です。

60時間以上には80時間越えなどの人も含まれていると考えられることも要因の一つにはなると思います。週80時間と言えば、通常就業の2倍です。

ここまでいくと終電にも乗れずタクシーで帰る方もあるでしょう。睡眠時間が削られることは容易に想像が付きます。

このように、労働時間が長くなると、うつ病等の疑いがある人の割合が増加する傾向にある ことが読み取れます。

昨今の働き方改革でも、残業時間の軽減が一つの大目標になっていたように思います。

対策という意味では、数値で現れるのでわかりやすいという面もあるのでしょう。

残業が多くても調子を崩さない人は存在するのか

へっちゃら

昨今の働き方改革により、長時間労働があらゆる業種で是正されててきました。

これは良い事とされています。

ここで一つ疑問になるのは、残業が多くてもへっちゃらな人の秘密についてです。

個人事業主のような世界では、残業時間は自己管理になりますが、自分だけの残業を記録している人はごく少数でしょう。

7時から23時まで毎日働いている人もいるわけです。

このような働き方の人たちは、なぜ倒れないのでしょう。

疲れ知らずの人を見ていると、昨今の働き方改革とはまるで別次元の話のようです。

週40時間労働が基準

日本では、土日が休みとなり週40時間労働が定着しています。つまり週5日出勤し8時間働くのです。そこからはみ出た分が残業になります。

残業時間にも基準が設けられています。

自分が会社を動かしている意識

全ては想像ですが、自分でやっている感触を持っている場合疲れ知らずだったりしないでしょうか。

心理学的には、コントロール感とか主動感、充実感などの言葉に表されます。

またビジネス的な用語で言えば、「裁量権」というものがあります。

これはどこまでその人の責任において決定できるかを意味しており、上の主動感とも通じる概念です。

毎回上司に伺いを立てなければとドキドキと恐れながら働くのではなく、自分で決めて良いというのですから体験的にはだいぶ違うのでしょう。(逆にこれが負担になってしまう事もあります。)

ペース配分や休憩の活用がうまい?

もしかすると、休憩を上手く活用していないでしょうか?マラソン選手のようなタイプと言えるでしょう。

自営業の方などは、非常に省エネな動きをしていると感じる事があります。

例えば、どこかの商店では一人で店番をしている姿を見かけるものですが、ずっと店の最前線にはいません。実は、ふすまの向こう側にはテレビやストーブ茶菓子などがあり、くつろいでいる人もいるのです。

お客さんがきたらすかさず出て行くわけです。

長丁場になるので、この場合温存が重要なのでしょう。

もちろん限度はある

もちろん、このような働き方の場合であっても、一人の人間であることは免れようがありません。

ある年齢に達したときにそれを感じるかもしれませんし、実際倒れてしまうこともあるわけです。

また、疲れを凌駕してしまっている可能性もあり、この場合は心配な感じがします。

もしかすると、休日にはぐったりとしているのかもしれません。

何者も働き続けることはできないのだと思っておけると、疲れ知れずの人を見て自分ももっと頑張らなければと焦燥感に襲われることは緩和できるでしょう。

まとめ

国の施策であれば、様々な根拠データが必要になります。

そのようなデータはもちろん非常に有用であり、重要視されるべきなのですが、そこに収まり切らない人も結構な数いるのではないでしょうか。

良い疲れと嫌な疲れなどという表現を聞くこともあります。これも秘密の一つかもしれません。

現代社会において、個別性という観点は非常に重要なことだと感じております。

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