特定の方法や手順のもとにカウンセリングは展開するものではありません。もちろんカウンセリングの時間をより有益なこととするために、幾つかの工夫がなされていることも確かです。 例えば、その一つに、カウンセリングでは時間が決まっていることもその工夫の一つであり、一つの方法と言えます。
カウンセリングはどんな視点から進められているのか
しかし、このような予め決まっている工夫や方法は幾つかあるにしても、カウンセリング全体の大半はその時、その場で語られることを重視して手順なく進められていきます。このことからも、カウンセリング1回のことを、ワン・セッションと呼んでいます。
では、当オフィスのカウンセリングの視点とは、どのようなものなのでしょう。 まず、人の生活の中には非常に多様な出来事があります。それは、仕事の事、結婚の事、病気、誰かの死、別れ、就職・就労、人間関係に関することなど様々です。
我々は、普段世間や社会がそうであるとするところの意味も含めて、現実の出来事を捉えて行きますが、時にそれは流れされるかのように、忙しく過ぎ去っていくものでもあります。 違和感や迷い、ためらいを感じる間もない程の忙しさのためか、個々人の内側でうごめいていることを扱うことが、時に重視されないということもあるでしょう。
物語(ナラティブ)への注目
そして、そこには社会の文脈で理解された物語(ナラティブ)が展開されているとも言えるのではないかと考えます。「それは、こういうものです。決まっているんです」というようにです。 多くの出来事が絶え間なく訪れる中では、そのように過ごされることもまた、やむを得ない事でもあるのでしょう。しかしながら、大事な事がそこには含まれていることもまた多いのではないでしょうか。
その人にとっての意味
このような中、カウンセリングでは、社会や世間の言うところの意味ではなく、「その人にとっての意味」に大きく注目しています。 その意味を探す事が、実はその人の生き方をより豊かなものとしていくことに繋がる大事なことであったり、進みたい方向を見つけることに繋がるものとなることを、少なからずカウンセラーは経験してきました。
その人にとっての意味をカウンセラーと共に探していく時間がカウンセリングであり、これがカウンセリングに関する一つの説明となります。 それまでの生き方や物語を否定し改めるということではなく、カウンセラーとの対話を通して、その人にとって意味ある新たな物語を共につくりあげ、より良く生きて行かれる支援ができればと考え、お待ちしております。